2016/06/02

スマホ向け動画広告のお話(ウェブ・マーケティング論ゲスト講義)

企業のマーケティング活動で、「ウェブを用いるのは当たり前」という感覚は若い人ほど強く持っているはずです。

NHK放送文化研究所による「日本人とテレビ・2015」調査(対象は16歳以上の男女)では、テレビを見る時間について「ほとんど、まったく見ない」「30分ぐらい」「1時間」と回答した人の合計が全体では24%。これに対して、16〜19歳では41%でした。逆にインターネット(メールを除く)を毎日利用する人は全体では38%。16〜19歳では65%でした。

テレビと言えば動画ですが、インターネットでの動画視聴も若い人の間では当たり前になってきていて、16〜19歳で「毎日のように」が35%、「週に3〜4日」が22%、「週に1〜2日」が28%でした。つまりこの層の85%が週に1回はインターネットで動画を見ていることになります。しかもこの数字は2010年の59%からも伸びていて、そこにはスマートフォンの普及が影響しています。

その一方で、2015年のスマートフォン広告の市場規模は3717億円で(サイバーエージェントとシード・プランニングの共同調査)、これは日本の広告費の6兆1710億円(電通調査)の6%にしか相当しません。そのうちスマートフォン向け動画広告は200億円なので、さらにその1/19近くというまだまだ小さい規模です。

このスマートフォン利用時間(頻度)と広告配分比のギャップについて、株式会社オープンエイトの代表取締役社長である高松雄康さんにゲスト講師として話してもらったのが、6月1日の「ウェブ・マーケティング論」でした。

授業風景(オープンエイト吉田さん撮影)

スマホ動画広告に予算が割かれない広告主側の理由として、ちょっと笑ってしまうようなものには、同じ人が見ているにもかかわらず「PCでの広告は大きいけど、(画面の小さい)スマホの広告は小さいから」といったものがありました。また、PCにしろスマホにしろ存在する「本当に広告が見られているのか問題」も解説してもらい、そこを保証するための閲覧時間という新しい指標の話も伺いました。

さらに「パソコンの場合はウェブブラウザでのサイト訪問履歴がわかるが、スマホの場合はそれがわかりにくい」という問題もあります。だからパソコンで旅先の宿を予約したら、その後しばらくホテルの広告が訪問先サイトの多くで表示されますが、スマホではこのようなことはほとんどありません。けれども、逆に言うと、今その人が訪れているサイト/アプリの内容に見合った広告しかスマホでは出せないことになります。

これはデメリットのように思えます。けれども面白かったのは、「動画という形式になると、人は面白いものあるいはコンテンツと関連の深いものを求めるようになる」という話でした。これは驚くべきことに、冒頭で紹介した若い人が遠ざかりつつあるテレビのCMの考え方に回帰しているわけです。テレビCMはあなたの番組視聴履歴に合わせて一人ずつに別のものが放送されているのではありませんから。

授業内レポートの課題は「どういう形または中身であればあなたはスマートフォン向け動画広告を見るか述べてください」というものでしたが、その回答内容に「おもしろさ」「流行り」を指摘するものが多く私も少しびっくりしました。

本日の授業内レポートのお題
(オープンエイト吉田さん撮影)

ウェブ・マーケティング論では、日々変わっているマーケティング業界の構造についても良く話すのですが、こういった新しい形や中身の広告を作ってみたい、売ってみたいという人は、「会社」ではなく「業界」に就職すると思って、オープンエイトのような新しい会社に入るという選択肢もあると思います。少し慎重さは必要ですが、十分検討に値する選択肢だと思います。

オープンエイト(ツイッターアカウント)

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