2016年5月25日水曜日

【学問のミカタ】働くモチベーション

コミュニケーション学部の小山健太です。

私は2015年4月にトケコミメンバーとなりました。今回初めて、トケコミ・ブログに投稿します。どうぞよろしくお願いします。

私の研究テーマは、組織内コミュニケーションです。春の時期、「お金」と聞いて私が思い浮かべるのは初任給です。3月にトケコミを巣立っていった卒業生は、先月、初めての給料をいただいたことと思います。大切な初めてのお給料、何に使ったのでしょう。

さて、お金は組織における重要なコミュニケーションツールです。

かつて、「お金を与えれば、社員は努力する」と考えられていました。しかし、そうとも言い切れないことを、エドワード・L・デシという研究者が明らかにしました。

デシの行なった心理実験は、A、B、2つのグループを作り、パズルを解いてもらう、というものです。パズルは、飛行機や犬などの図形をブロックで作る(解く)というものです。何千もの図形パーツがあって、つい没頭してしまうようなパズルです。

実験は次のような手順で進められました。

(1)どちらのグループにも、パズルを解いてもらう
(2)Aグループのみ、解いたパズルの数に応じてお金を与える
(3)どちらのグループも8分間の休憩を与えられる(休憩中の両グループの行動は研究者によって観察される。これが実験の肝です)

8分の休憩時間中にパズルを解き続ける人数にグループ差が見られました。どちらが多かったと思いますか。正解はBグループです。

お金をもらったことで、Aグループのメンバーにとって、パズルを解くことがお金を得る「手段」になってしまったのです。ですから、休憩時間中にパズルを解こうとしなかった。つまり、お金をもらうことで、努力する意欲が弱まってしまったのです(アンダーマイニング効果とも呼ばれます)

この実験から、「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」という考え方が登場しました。

お金のような外的報酬を強く意識すると、その人はお金を得るための「手段」として、仕事に取り組むようになります(外発的動機づけ)。それに対して、たとえば達成感のような内的報酬を強く意識する人は、仕事そのものの「やりがい、興味関心、愉しさ」を感じ、働くこと自体が「目的」となります(内発的動機づけ)。より大きな成果を生み出すのは、内発的に動機づけられた人たちなのです。

その後、デシは「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」とは対立するものではなく、連続的にとらえる必要性を指摘しています。つまり、最初はお金を得るために渋々始めたことであっても、取り組んでいるうちに「やりがい」を見出すこともある、そういう考え方です。

貨幣経済が浸透している現代において、もちろん賃金収入は必要です。でも、仕事を、お金を得るための「手段」にとどめるのではなく、仕事そのものを「目的」にすることができたら、自分の人生をイキイキとしたものにしていけそうです。

私は「組織コミュニケーション論」という授業で、「トケコミでの授業やゼミを通じて、視野を広げ、専門性を深めることで、内発的動機づけの幅を拡げていってほしい」というメッセージを伝えています。

ところで……、私がこの記事を書いたのは、もちろん、内発動機づけによるものです!(笑)



▲小山ゼミでは、イキイキ働くための組織コミュニケーションを学習・研究、成果を社会人の前で発表します(写真は発表会の一コマ)