2016年4月30日土曜日

東経大・スタジオ発!のアートが芽吹く、根づく


【ワークショップ中村座2016】

3シーズン目がスタートしました。

メディア制作ワークショップ、身体表現ワークショップを履修するメンバーとの出会いが楽しみです。

お招きするゲスト講師のみなさんとのコラボ講義が刺激的です。

トップバッターの安斎利洋さん(システムアーティスト)と共に、「カンブリアン・ゲーム東経大2016」から始めます。
「カンブリアン・ゲーム」は、ひとりひとりのアイデアがほかの人のアイデアを巻き込みながら変化し、ひとりではとう­てい思いつかないような多様なアイデアを生み出していくゲームです。

安斎利洋+中村理恵子が1990年代初めから展開しているコラボレーティブなネット・アートの一つ、イメージの連想セッションです。


種絵:「地球は青かった。」
★このゲームの最初の種になる絵は、魅力的でなくてはなりません! 今年は、学生作品「地球は青かった。」(秋葉成美さん)、昨年の東経大セッションに投稿された優れた作品を種絵にして始めます。

これからじっくり安斎さんが開発したソフトを使い、参加者がスマホなどから投稿した写真の連想の流れを、ウェブ上に樹のように表示しながら進みます。

さらに、コラボ講義に新たな軸が加わりました。「杖道とアート」のための、LEDを仕込んだ光る杖の軌跡をとらえる撮影術です。
ご自身の最新作「Monet’s Mappings(モネの写像)」をみせながらプロの技やとっておきのコツを惜しみなく伝授します。こちらのテーマとする「杖道とアート」に直接関わってくる表現に絡んできます。
メンバーから、思いがけない反応や発見が返ってきます。急遽必要な機材をメディア工房スタッフにご対応いただくことも頻繁です。まさにワークショップ型講義の醍醐味です!。

こんな制作のプロセスを公開しながら、半年ないし通年を経た成果を、地元国分寺のギャラリーや展示スペースにて「作品展」として発表することを目指します。
GW真っ最中、新緑がまぶしい中で、スタジオの内外で深く静かに潜行中です。

2016年4月21日木曜日

【学問のミカタ】春をつかまえる

大学付近の野川(撮影:佐々木裕一)

新年度最初の学部共通テーマは「春」です。

三省堂の国語辞典に、「春」はこんな風に書かれています。

 春 (1)四季の一. *3~5月,旧暦で1~3月.||(ア)勢いの盛んな時期.(イ)色け.色情.(2)正月.新春.

他の季節はどうでしょうか。

 夏 四季の一.*6~8月,旧暦で4~6月
 秋 四季の一.*9~11月,旧暦で7~9月./物事の終わりにたとえられる.
 冬 四季の一.*12~2月,旧暦で10~12月.|| 厳しい時期.

夏を除くと、どの季節にも、暦以外の意味があります。なかでも、もっとも意味の多いのが「春」です。

さて、四季には、辞書に書かれている意味に加え、それぞれ一定のイメージがあります。

心理学では、イメージを調べる際、SD法を用います。

SDとは、Semantic Differentialの略です。直訳すると、意味の差、つまり絶対的意味よりも相対的意味に注目する方法です。心理学者のオズグッド(Osgood, C.)が1950年代後半、考案しました。

SD法では、一般に形容詞で「意味」をとらえます。たとえば、明るい−暗い、やわらかい−かたい、暖かい−冷たい、といったように形容詞を「対」で用います。

形容詞という同じ土俵に乗せれば、異質な物同士も比較できるようになります。回答は通常、段階尺度(リッカート尺度と言います)で答えます。7段階の例ではこうなります(もっとも近いものに○をする)

(明るい)1 非常に−2 かなり−3 やや−4 どちらでもない−5 やや−6 かなり−7 非常に(暗い)

実際には、以下のように聞きます。

「春」というコンセプトを、明るい−暗い、という軸で考えると、7段階のどこに位置するか答えてもらいます。他の形容詞についても同様です。つぎに、「夏」に対して各形容詞について同様に答えてもらい、秋、冬と行います。

回答から形容詞ごとの平均値をコンセプト別に求め、その値でコンセプトの特徴をとらえ、コンセプト間を比較します。
ところで「春」で画像検索をすると、桜の画像がたくさん出てきます。こういう方法でも、ことばのイメージは調べられそうです。さて、「夏」「秋」「冬」はどうでしょう。
SD法について詳しく知りたい向きには、市原茂さんが2009年に書かれた「セマンティック・ディファレンシャル法(SD法)の可能性と今後の課題」をお勧めします。

川浦康至

【学問のミカタ】
 「経済と経営って、どう違うの?」「コミュニケーション学部や現代法学部って何を学ぶの?」「教養ってどんな授業をするの?」
 そんな疑問を持った高校生に送る企画です。
 このシリーズでは、教員いわば学問の強い味方が、その学問分野でのとらえ方(学問の見方)を紹介していきます。同じテーマでも、学問分野が違うと視点も変わります。
 【学問のミカタ】で、その一端をお伝えします。
 記事は、毎月1回、共通テーマで書かれます。今月は「春」。

 ●他学部ミカタ
現代法学部 || 住民と市民
全学共通教育センター || 春の星座


2016年4月13日水曜日

新任教員のご紹介

 今年度、着任された教員を紹介します。

 南隆太(りゅうた)さん、林剛大(ごうた)さんです。お二人とも専門は英語です。
 南先生はシェークスピア、およびアジアの大衆文化に通じています。かたや林先生は英語教育のプロ。強力なスタッフが加わりました。

 南 隆太(教授)
「大阪生まれ、芝居好きの甘党」
主要担当科目
・外国文学Ⅰ:文学作品について、メディアを超えて翻訳された作品と比較しながら考える。
・英語・文化論:英国の言語と文化入門

 林 剛大(特任講師)
「英語を教える前はバイオリンを教えていました。今は英語を教えるかたわら、趣味で音楽活動をしています」
担当科目
・アカデミックライティング:Brainstorming and writing outlines, paragraphs, and essays on various topics
・英語講読:英語を読む練習(速読、内容理解と発表)
・英文法作文:英語で考える(練習による英作文の構造と文法の体得)
・パブリックスピーキング:Developing self-confidence and influencing people through public speaking
・英語ワークショップ:英文資料作成、ディスカッション、プレゼンテーション練習

 お二人には、5月の「トケコミ・トーク」で、ちょっと長めの自己紹介をしていただく予定です。


文化人類学の深山直子先生が首都大学東京に転出されました。

2016年4月1日金曜日

コミュニケーション学部で「脳のバージョンアップ」

コミュニケーション学部長 関沢英彦


 新入生の皆さん、国分寺の丘の上で、深呼吸をしましたか。「ああ、大学生になった」という実感がわいたでしょう。東経大は、あまり規模が大きくないので、温かい雰囲気があります。面倒見もいい。あなたの可能性を高めることがきっとできる大学です。

 そして、コミュニケーション学部(トケコミ)には、あなたの創造性を高める授業が揃っています。もちろん、知的な分析力も卒業時には、ぐんと高まっているはず。

 昨年2015年、コミュニケーション学部は設立20周年を祝いました。

 1995年といえば、インターネットが日本に本格的に普及した時期。それから、20年前の1975年には、初めてテレビ広告費が新聞広告費を上回りました。そして、また、20年さかのぼった1955年、テレビ放送は始まって2年しか経過していませんでした。メディアといえば、新聞、雑誌、ラジオの時代だったのです。

 印刷メディアから、テレビへ、そして、インターネットへと時代は変化しています。インターネットも、ウェブサイトやメールの機能に加えて、いまでは、SNSやソーシャルメディアと呼ばれる分野が大きく成長しました。

 1995年を起点として、情報通信産業は他の産業よりも高い成長率で伸びてきました。現在、GDPに占める割合も主な産業の中で、高い比重を占めています。

 考えてみれば、当たり前です。あなたが手にしているスマホ、それを軸にして、社会も経済も動くようになりました。夜、ベッドに入ってから、ネット通販で何かを買うといったシーンも当たり前になったのです。

 そしていま、IoT (Internet of Things) という新しい動きが始まっています。人や組織だけでなく、モノも、情報のネットワークの中に組み込まれていくのです。となると、モノとして高品質にするだけでなく、他のモノとの関係をどう構築するかが重要になっていく。あなたの学ぶコミュニケーション学は、モノとモノ、モノと人との関係性を設計する、いいかえれば、コミュニケーションネットワークのデザインをすることにも関わっていくことになるのです。

 コミュニケーションが、ビジネスの中心になる。そういう時代変化が、どんどん進んでいます。コミュニケーション学を学ぼうと思ったあなたは、将来の仕事選びという点でも、賢い選択をしたといえるのです。

 さて、コミュニケーションは、言葉を軸に行われます。日本語、そして、英語に代表される外国語によって、私たちは、日本や世界中の他者と関係を結ぶことができるのです。絵、写真、映像などの非言語的コミュニケーションも大切になってきました。6号館の地下に行ってご覧なさい。メディア工房で、今日も制作活動をしている先輩や仲間を見つけるでしょう。

 現代社会においては、知識の蓄積と、分析力だけでは不十分になってきたのです。情報内容をうまくデザインして、自らの意図を表現していく力が求められます。コミュニケーション学部は、そうした分析と表現の両面を訓練できる場です。だから、コミュニケーション学部は、4年次に、卒業論文か卒業制作を全員が提出することになっています。論文でも、制作でもいいということと、全員が提出して合格点をとらないと卒業できないという点がコミュニケーション学部の特長です。

ースで学ぶ

 コミュニケーション学部では、2年次から3つのコースに分かれて学習します。コースによって、卒業に必要な履修科目が異なるので注意をしてください。

(1)メディアコース
 テレビや新聞などのマスメディアと、インターネットや携帯電話などの新たなメディア(ソーシャルメディア)を「メディアコミュニケーション」として統合的に扱い、仕事や日常生活で求められる知識と技能を広く学びます。

(2)企業コース
 企業のコミュニケーション活動や企業経営、さらにメディア環境や人々の意識に関する勉学を通じて「戦略的に考える力」を養います。企業の広報・広告担当者に求められる知識と技能を広く学びます。

(3)グローバルコース
 文化の「固有性と多様性」に対する理解を深め、合わせてコミュニケーション・ツールとしての英語を学びます。グローバル化の進む現代社会で求められる知識と技能の獲得をめざします。

 そのほか、コースを超えたPRプロフェッショナルプログラムグローバルキャリアプログラム英語アドバンストプログラムなどの選抜制プログラムもあります。ぜひ、あなたの可能性を高めるために受講を検討してみたらいかがですか。詳細はプログラムごとに確認してください。

 またコミュニケーション学部では、教員資格も取れることはご存じですね。中学校の社会と英語、高校の地理歴史と公民、英語、情報です。資格取得には早めの対応が欠かせません。関心のある人は早いうちから相談してください。

ークショップ、演習、卒業研究

 コミュニケーション学部の教育を特徴づけているのが「ワークショップ」「演習」「卒業研究」です。ワークショップは体験重視、実践重視の授業で、少ない人数で行われます。多彩なゲストが講師として参加されるのも魅力といえるでしょう。ワークショップは、調査系、表現系、言語系の3つに分かれ、各系のもとに多様な科目を数科目ずつ設けています。

 演習は通称「ゼミ」と呼ばれ、最大でも十数人という規模の授業です。受講できるのは2年次以降で、大半の学生が、3年次まで継続して取っています。ゼミの内容は先生によって異なりますので、シラバスで確認してください。秋には「ゼミ発表会」を行います。ゼミ生が発表しますので、参加することで、より具体的なゼミ情報が得られるはずです。

 コミュニケーション学部は、講義とともにワークショップ科目やゼミなど、少人数で学びます。調べて発表をする。みんなで企画を立てる。映像を作り出す。いずれも、大変ですが、とても楽しいはず。コミュニケーション学部の学生は、「楽しそうだね」といわれることが多いようです。ただ、それは、ラクであることは意味しません。自分でアイデアを生み出し、カタチにしていくことは、心がワクワクしますが、同時にツライことでもあります。

 卒業研究(論文・制作)は、先にも述べたように必修科目です。優秀な論文や作品には、それを表彰する制度もあるので、4年間の成果の目標にもなります。

の20年に向けて

  コミュニケーション学部は、いま、次の20年へと進化を始めています。これからの20年、どのようにメディアは変わっていくと思いますか。あらゆるものにセンサーがついて、それをコンピュータが読み取って、データをあなたに示してくれるでしょう(いいことか、悪いことかは別にして)。ロボットも、ごく普通に活躍するようになります。

 野村総研(2015年12月)予測では、2025年から2035年には、日本で働いている人の仕事の49%は、人工知能(AI)やロボットで代替可能になるとのことです。

 ということは、人間にしかできないことは何かを真剣に考える必要があります。まず、コミュニケーションをする相手への「想像力」。これは、もっとも機械にとって苦手なことです。あらゆる仕事において、人々が何を思い、何を望んでいるかという感受性が求められます。とくに口に出したことだけでなく、相手も無意識にしか感じていないことを「察知」することが大切です。

 スマホですべて情報を得られるからと、うつむいてばかりいてはいけません。顔を上げて、あなたのまわりにいる「生身の人間」をしっかりと見てください。感じてください。そうしないと、あなたは、コンピュータに負けてしまう。

 コミュニケーション学部は、異文化のなかにいる人とのコミュニケーション、メディアのあり方を批判的に感じ取れる力、そして、何よりも、他者への共感する心を持つことを求めます。それは、あなたが20年後、サバイバルするためにも必要なのです。

 授業の履修プランを立てるということは、あなたの「脳を設計」することでもあります。どういうカタチにバージョンアップしますか。この国分寺の丘の上が、あなたの人生にジャンプ力を与えてくれることを願っています。

※ 2016年度(新入生向け)履修要項の巻頭言を一部変更しています。


【参考】1995年に関する本


川浦康至