2015年7月30日木曜日

新刊『レジャー・スタディーズ』

渡辺 潤先生編集になる新刊は『レジャー・スタディーズ』。

同僚の光岡さんも分担執筆。

《もくじ》

 序 レジャー・スタディーズの必要性と可能性(渡辺 潤)
 ◆Part 1 余暇学からレジャー・スタディーズへ
1. 余暇(薗田碩哉)
2. 遊び(井上 俊)
3. ライフスタイル(渡辺 潤)
4. 仕事(三浦倫正)
5. カルチュラル・スタディーズ(小澤考人)
 ◆Part 2 レジャーの歴史と現在
6. 娯楽と教養(加藤裕康)
7. ツーリズム(増淵敏之) 
8. 音楽(宮入恭平)
9. ショッピング(佐藤生実)
10. スポーツ(浜田幸絵)
 ◆Part 3 レジャーの諸相
11. ライフサイクル(盛田 茂)
12. 食(山中雅大)
13. 映画とテレビ(盛田 茂・加藤裕康)
14. ミュージアム(光岡寿郎)
15. ギャンブルとセックス(岸 善樹)

いまこそレジャー、いまこそ余暇。

2015年7月26日日曜日

「表現と批評−映画を批評する」映画投票

2015年度「表現と批評」が終わりました。
授業で紹介した映画のベスト3を受講生に投票してもらいました。
その結果を発表します。

 まず単純に1位に投票された数だけで順位をつけてみます(投票総数188票)。

1. ジェームズ・キャメロン監督「ターミネーター2 特別編」(1993)  29票
2. 新海誠監督「言の葉の庭」(2013)  26票
3. 今敏監督「東京ゴッドファーザーズ」(2003)  23票
4. 内田けんじ監督・脚本「運命じゃない人」(2005)  19票
5. ジェームズ・キャメロン監督 「ターミネーター」(1984)  18票
6. クリント・イーストウッド監督「ジャージー・ボーイズ」(2014)  17票
7. アンドリュー・ラウ/アラン・マック監督「インファナル・アフェア」(2002)  15票
8. 本木克英監督「超高速!参勤交代」(2014)  14票
9. ウェス・アンダーソン監督・脚本「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014)  9票
10. 篠田正浩監督・山田太一脚本「少年時代」(1990) 5票
10. スティーヴン・スピルバーグ監督 「レイダース 失われたアーク」(1981) 5票
12. 押井守監督「機動警察パトレイバー 2」(1993) 4票
12. スコット・ヒックス監督「シャイン」(1996) 4票
14. 岡本喜八監督「日本のいちばん長い日」(1967) 0票

 ベスト3を選んでもらったので、これだけでは、本当の順位はわかりません。単なる多数決は実情をあらわしていないとして、最近話題のベストセラー、坂井豊貴(著)『多数決を疑う—社会的選択理論とは何か』(岩波新書) で紹介されている「ボルダ・ルール」に従ってみましょう。

 ボルダ・ルールとは選択肢に順位をつけさせ、1位なら3点、2位なら2点、3位なら1点と点数をあらかじめ定めておき、その総和が一番大きい選択肢を採用する方法です。

 1位3点、2位2点、3位1点とします。すると、以下のような順位になります。上位4位までは変わりませんが、5位以下に変動が生じて、「ジャージー・ボーイズ」が上に上がってます。面白いですね。

1. ジェームズ・キャメロン監督「ターミネーター 2 特別編」(1993) 148点
2. 新海誠監督「言の葉の庭」(2013) 132点 
3. 今敏監督「東京ゴッドファーザーズ」(2003) 129点 
4. 内田けんじ監督・脚本「運命じゃない人」(2005) 115点
5. クリント・イーストウッド監督「ジャージー・ボーイズ」(2014) 113点
6. ジェームズ・キャメロン監督 「ターミネーター」(1984) 108点
7. アンドリュー・ラウ/アラン・マック監督「インファナル・アフェア」(2002) 101点
8. 本木克英監督「超高速!参勤交代」(2014) 78点
9. ウェス・アンダーソン監督・脚本「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014) 63点
10. 篠田正浩監督・山田太一脚本「少年時代」(1990) 42点
11. スティーヴン・スピルバーグ監督 「レイダース 失われたアーク」(1981) 40点
12. スコット・ヒックス監督「シャイン」(1996) 24点
13. 押井守監督「機動警察パトレイバー  2」(1993) 20点
14. 岡本喜八監督「日本のいちばん長い日」(1967) 4点

「表現と批評」(桜井哲夫担当)2005年—2015年 上映作品リスト
 コミュニケーション学部の名物講義「表現と批評」は、学部創設時の1995年から続いてきた講義です。日本は不合理な映画興行システムのために入場料がバカ高い国です。欧米では1000円以下でロードショーを見ることができるのに、興行システムの歪みのため、学生が映画を見なくなってきた状況を憂えた教員たちが、大きなスクリーンで映画をみせよう、とこの講義を考えつきました。
 最初は、三人くらいの教員の分担でしたが、何年か後から桜井が、ずっと一貫して担当してきました。上映用のDVD、Blu-rayは、すべて桜井の私物です(1400本以上のDVD、Blu-ray所有)。この講義は、毎回、上映した映像の批評文を提出させて成績評価をする講義です。毎回きちんと批評文を書いていれば、知らず知らずのうちに、文章表現力が身につきます。
 さて、あなたがたは、この10年間の映画(2006年度は、研究休暇のためお休み)をどのくらい知っていますか? 過去に見たことのある映画はありますか? 2回上映している映画もいくつかあります。さてどれでしょうか?

2005年
1 スクール・オブ・ロック(アメリカ、2003年) 
2 スウィングガールズ(日本、2004年)   
3 冒険者たち(フランス、1967年)
4 砂の器(日本、1974年)         
5 ガタカ(アメリカ、1997年)          
6 風の谷のナウシカ(日本、1984年)
7 用心棒(日本、1961年)      
8 モーターサイクル・ダイアリーズ(アメリカ=イギリス、2003年) 
9 薔薇の名前(フランス・西ドイツ・イタリア、1986年)
10 お熱いのがお好き(アメリカ、1959年)   
11 大いなる西部(アメリカ、1958年)       
12 霧の中の風景(ギリシャ=フランス、1988年)

2007年
1 ニッポン無責任野郎(日本、1962)
2 時をかける少女(日本アニメ、2006)
3 炎のランナー(英国、1981)
4 父親たちの星条旗(米国、2006)
5 硫黄島からの手紙(米国、2006)
6 ゆれる(日本、2006)
7 太陽がいっぱい(フランス、1960)
8 青春デンデケデケデケ(日本、1992)
9 リトル・ダンサー(英国、2000)
10 ジャッカルの日(米国、1973)
11 ニュー・シネマ・パラダイス(イタリア、1989)
12 麦秋(日本、1951)

2008年
押井守の世界
1 「うる星やつら 2 ビューティフル・ドリーマー」1984年
2 機動警察パトレイバー the Movie 1989年
3 機動警察パトレイバー 2  the Movie 1993年
4 攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL 1995年                                  
5 イノセンスINNOCENCE 2004年
6 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man 2005年                            
7 攻殻機動隊    STAND ALONE COMPLEX Individual Eleven    2006年 
8 人狼  JIN-ROH 2000年
9 アヴァロン  AVALON 2001年
10 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序』(庵野秀明監督、2007年)
11 「鉄コン筋クリート」(マイケル・アリアス監督 原作:松本大洋、2006)

2009年
1 アフタースクール(日本、2008年)
2 それでもぼくはやってない(日本、2007年)
3 AKIRA(日本、1988年)
4 たそがれ清兵衛(日本、2002年)
5 少年時代(日本、1990年)
6 ハッピーフライト(日本、2008年)
7 がんばっていきまっしょい(日本、1998年)
8 のど自慢(日本、1998年)
9 キッズ・リターン(日本、1996年)
10 天空の城ラピュタ(日本、1986年)
11 雪に願うこと(日本、2006年)
12 ALWAYS 三丁目の夕日(日本、2005年)

2010年
1 新海誠の世界「ほしのこえ」(2002年)「秒速5センチメートル」(2007年)
2 「ディア・ドクター」(日本、2009年) 
3 「グッド・ウィル・ハンティング」(米国、1997年) 
4 「ショーシャンクの空に」(米国、1994年)
5 「サマーウォーズ」(日本アニメ、2009年)
6 「北京ヴァイオリン」(中国、2002年)
7 「グラン・トリノ 」(米国、2008年)
8 「ほくらはみんな生きている」(日本、1992年)
9 「遠い空の向こうに」(米国、1999年)
10 「さよなら子供たち」(フランス、1987年)
11 「ザ・コミットメンツ」(アイルランド・英国、1991年)
12 「トキワ荘の青春」(日本、1996年)
13 「遙《はる》かなる山の呼び声」(日本、1980年)

2011年
1960年代の映画を読み解く
1. A HARD DAY’S NIGHT(英国、1964年)
2. 地下鉄のザジ(フランス、1960年)
3. 乾いた花(日本、1964年)
4. メリー・ポピンズ(米国、1964年)
5. 冒険者たち(フランス、1967年)
6. 天国と地獄(日本、1963年)
7. 卒業(米国、1967年)
8. 「男と女」(フランス、1966年)
9. 砂の女(日本、1964年)
10. ロシュフォールの恋人たち(フランス、1967年)
11. 明日に向って撃て(米国、1969年)
12. サウンド・オブ・ミュージック(米国、1965年)

2012年 
日本アニメ史の試み
1. 『白蛇伝(はくじゃでん)』 (1958年)
2. 『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)
3. 『銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999)』(1979年)
4. 『ルパン三世  カリオストロの城』(1979年)
5. 『風の谷のナウシカ』(1984年)
6. 『AKIRA』(1988年)
7. 『機動警察パトレイバー 2』(1993年)
8. 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序』(2007年)
9. 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009年)
10. 『千年女優』(2002年)
11. 『秒速5センチメートル』(2007年)
12. 『時をかける少女』(2006年)
13. 『東のエデン 総集編Air communication』(2009年)
14. 『となりのトトロ』(1988年)

2013年
1. 塩田明彦「どこまでもいこう」(1999)   
2. 吉田大八「桐島、部活やめるってよ」(2012) スピンオフ短編「宮部実果」
3. 庵野秀明「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012) 「巨神兵、東京に現わる」   
4. 細田守「おおかみこどもの雨と雪」(2012)
5. ブライアン・ヘルゲランド「ロック・ユー! 」(米国、2001)            
6. ジャコ・ヴァン・ドルマル「トト・ザ・ヒーロー」(ベルギー・仏・独合作1991)
7. 山下敦弘「天然コケッコー」(2007)       
8. マイケル・アリアス 原作:松本大洋「鉄コン筋クリート」(2006)
9. エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ「最強のふたり」(フランス2011)     
10. ロマン・ポランスキー「ゴーストライター」(仏・独・英、合作2010)、
11.新海誠「言の葉の庭」(2013)       
12.沖浦啓之「人狼」(2000、原作・脚本:押井守)
13.小津安二郎「東京物語(ニューデジタルリマスター版、2013)」(1953)        
14. ミロス・フォアマン「アマデウス(完全版)」(米国、1984、Blu-ray完全版、2013)

2014年
1.「SHORT PEACE」(日本、大友克洋ほか,2013)
2.「ミッドナイト・イン・パリ」(米国、2013)
3.「ミラーズ・クロッシング」(米国、1990年)      
4.「魔法少女まどか☆マギカ(前編)」(日本、2012年)
5.「魔法少女まどか☆マギカ(後編)」(日本、2012年) 
6.「魔法少女まどか☆マギカ 新編」(日本、2013年)
7.「ピンポン」 (日本、2002年)    
8.「海の上のピアニスト」(イタリア、米国、1999年)   
9.「雨に唄えば」(60周年デジタルマスター版、米国、1952年)
10.「ダイ・ハード」(米国、1988年)  
11.「鍵泥棒のメソッド」(日本、2012年)   
12.「イル・ポスティーノ」(イタリア、1994年)

2015年
1.「運命じゃない人」(日本、2005年)
2.「ジャージー・ボーイズ」(米国、2014年)
3.「機動警察パトレイバー 2」(日本、1993年)
4.「グランド・ブダペスト・ホテル」(英国・ドイツ合作、2014年)
5.「超高速!参勤交代」(日本、2014年)
6.「ターミネーター」(米国、1984年)
7.「ターミネーター 2 特別編」(米国、1993年)
8.「少年時代」(日本、1990年)
9.「レイダース 失われたアーク」(米国、1981年)
10.「シャイン」(オーストラリア、1996年)
11.「東京ゴッドファーザーズ」(日本、2003年)
12.「言の葉の庭」(日本、2013年)
13.「インファナル・アフェア」(香港、2002年)
14.「日本のいちばん長い日」(日本、1967年)
桜井哲夫

2015年7月25日土曜日

オープンキャンパスでゼミ体験

いよいよ明後日に迫ったオープンキャンパス初日。
今年度から、ゼミ体験が加わりました。

タイトルは「学生によるゼミ発表会」。
スケジュールをお知らせします。

7/26 大榎淳(6号館地下1階メディア工房)
 ▶︎表現研究−メディアアート ゼミ展「Media Garden」をふりかえる。すぐわかる表現研究ゼミのヒミツ

8/22 草野ハベル清子(5号館2階E201)
 ▶︎コミュニケーション英語 少人数の英語コミュニケーションのクラスにおける第1日目のようすを再現

8/23 松永智子(5号館2階E201)
 ▶︎「異文化×メディア」でゼミする方法 あなたの「なぜ?」を形にしよう

時間は13:20 〜 14:00です。

2015年7月24日金曜日

電子版『コミュニケーションという考えかた』

 このたび、学部開設20年を記念して、『コミュニケーションという考えかた』を発刊しました。

 学部開設当時の苦労されたこと、インターンシップなど新しい試みへの挑戦、学部独自の制度といった20年を振り返るセクションと、コミュニケーション「学」の動向にふれたセクションの2部からなっています。

 そのPDFファイルを図書館のリポジトリに登録しました。
http://repository.tku.ac.jp/dspace/handle/11150/9200
青箱内の「book01.pdf」か、「見る/開く」をクリックすれば見られます。

 表紙を飾る写真は、あやとりで作った「橋」です。協力してくれたのは学部関係者、教職員、卒業生。

目次をご紹介しましょう。

 まえがき 川浦康至

 I コミュニケーション学部のいま
コミュニケーションという意志 川浦康至
トケコミにトケコムということ 佐々木裕一

 II コミュニケーション学部の20年
鼎談 コミュニケーション学部の開設を巡って 田村紀雄×浜野隆典×三上卓也
コミュニケーション学部開設と総合大学化 富塚文太郎
なぜコミュニケーション学部か 田村紀雄
コミュニケーション教育とコンピュータ 安藤明之
メディア工房とコミュニケーション教育 桜井哲夫
身体表現ワークショップ 大榎 淳
ゼミにおける新たな試み 深山直子
ゼミと卒論 渡辺 潤
コミュニケーション学と地域研究 山田晴通
コミュニケーション学部と留学生 中村嗣郎
仕事は、コミュニケーションで動く 関沢英彦
コミュニケーション学部学生表彰制度 池宮正才
データから見るコミュニケーション学部生 北山 聡

 III コミュニケーション学の課題
PR・広報 猪狩誠也
コミュニケーション学と新聞学 有山輝雄
コミュニケーション研究とアメリカ 長谷川倫子
緊急時の情報生産とコミュニケーション 吉井博明
コミュニケーション学をめぐる雑感 西垣 通
国際コミュニケーションの歴史から今を見つめる 松永智子
「メディア効果研究」の今後をめぐって 柴内康文
社会調査とメディア・コミュニケーション研究 北村 智
コミュニケーションの「モノモノ」しさ 光岡寿郎
組織コミュニケーションとしての人事メカニズム 小山健太
スポーツコーチングの現場におけるコミュニケーションのあり方 遠藤 愛
アイで広がる世界とコミュニケーション 阿部弘樹
ネオリベラリズム状況下でのカルチュラル・スタディーズの課題 本橋哲也

 資料
1 コミュニケーション学部の理念、目的、教育目標
2 コミュニケーション学部の三方針
3 コミュニケーション学部教員一覧
4 コミュニケーション学部関連年表

 著者紹介

 あとがき 渡辺 潤

2015年7月22日水曜日

【学問のミカタ】あなたの海と、私の海と。

7月の共通テーマは、海。

今回は「文化人類学」担当、東京生まれ育ちの深山直子がお届けします。

 つい先日、関東地方は梅雨明けをした模様です、夏本番、ついに到来ですね!昨日の「海の日」はお天気に恵まれたので、海に出かけたという人もいらっしゃるのではないでしょうか。かくいう私も、暑い暑いと言いながら夏の海は大好きです。

 私が文化人類学者として調査研究を行っている地域の一つに、沖縄があります。普段はもちろん大学にいなくてはなりませんから、おのずと学生の夏季休暇中に、調査のため沖縄を訪れることが多くなります。羽田から飛び立った飛行機が沖縄上空に辿り着き下降し始めると、太陽に照らされた白い砂浜、エメラルドグリーンと真っ青のツートーンからなる海が目に飛び込んできます。何度繰り返しても飽きることのなく、胸が高鳴る瞬間です。


▲石垣島の丘から海を眺める住民。かれらのみている海と私のみている海は、同じかな?(撮影者:深山)

 文化人類学の調査というのは、必ずしもスムーズに進むわけではなく、むしろ無駄足や無為に過ぎる時間が多い方がふつうですが、そんなときでも沖縄ならば、浜辺を散歩したり水平線を眺めたりして心を落ち着けることができます。そこでつくづく、美しい海がすぐそこにある地元住民のみなさんを羨ましく思ってきました。

 これまで沖縄を対象としていくつかのテーマに関心を持ってきましたが、最近では石垣島を拠点に、サンゴ礁(サンゴがつくりだした海と陸にまたがる地形)と地元住民の暮らしの関係性を明らかにすることを目的とした調査に参加しました。いろいろな住民にお話を聞くなかで、これまで少なくとも沖縄では当たり前だと思っていた、「身近な海」「美しい海」という捉え方が、実は当たり前ではないのかもしれない、と気付くようになりました。

 例えば、先祖代々石垣島に住んでいらっしゃる女性は、子供のころ基本的に「海には入ってはいけない」と言われて育ち、内緒で友だちと泳ぎに行った際には、親にたいそう叱られたそうです。特に、法事やハーリー(爬龍船競漕大会/海神祭)の後に海に入ることは、「死んだ人がさらいにくる」からと、強く禁じられたと言います。似たような話は、沖縄の別の地域でも聞いたことがありますし、また海の近くに住んでいながら、海水に浸かるという経験がほとんどないという人にもしばしば会います。かれらは共通して、海に対して畏怖の感情を持っているようです。この背景には、沖縄に広く伝わる、海の向こうには神がすまう「ニライ・カナイ」という他界があるという思想、さらに死者の魂が向かう「グショー」という他界があるという思想の存在が指摘できそうです。

 あるいは、沖縄本島の糸満という、伝統的に漁業が盛んな地域の出身者を祖先にもつ男性は、石垣島での漁業について説明する際に、サンゴが外海に続く航路をいかに阻み、それを除去することにどれだけ苦労したかという話を、熱心に聞かせてくれました。そして、かつてはサンゴ豊かな海が美しいなどと思ったことはなかったが、近年になってよそから訪れる人たちが盛んにそう言うので、そういうものかなと考えるようになった、と教えてくれました。海を生業の場とする住民にとって、海は愛でる対象ではなく、さらに私たちには最大の特長に映る海中のサンゴを厄介に感じることもあるという話は、なかなかに衝撃的でした。

 もちろん、石垣島をはじめとする沖縄にも、海辺に頻繁に足を運んだり、その美しさに日々心洗われたりする住民の方も大勢いらっしゃるでしょう。しかしながら、海はかれらにとって、日常の景観の一部をなしているがゆえに、多様な意味を持つ空間になっています。したがって、上記のお二人のように、あるひとびとの目に海は、「身近な海」「美しい海」とは映らないのです。

 あなたの海は、私の海とは異なるかもしれない。私の持っている「海」観は当たり前でもなんでもなく、無数ある内のひとつに過ぎない。このような考え方は文化人類学において、コミュニケーション、とりわけ異文化間のコミュニケーションの際に、重要な前提として位置付けられています。

 みなさん、どうぞ素敵な夏をお送りください!

2015年7月16日木曜日

身体表現 「生命体の外殻としての服ワークショップ 紙トワル制作」



【勝負服2015@ワークショップ中村座】ファッションデザイナー&ウェディングドレスデザイナーの松居エリさんをゲスト講師に迎えた2年目。新たなワークショップを仕掛けていただきました。

スタジオには、100人の女性たちのデータを基に創りあげたというパターンが持ち込まれて、まさにプロの制作現場がそのまま出前されてのワークショップになりました。 

 メンバー全員真剣勝負。実作業を7分にタイムラプスしたムービー必見、ちょっとコミカルですが。





[*]トワルとは、服の製品化の過程の一つで、パターンメイキングの過程で行われる、デザイン及びシルエット確認の為の、もっとも初期段階で行われる立体化の事。( ファッション・デザイン用語

2015年7月13日月曜日

【予告】トケコミ20周年記念シンポジウム

コミュニケーション学部開設20周年記念シンポジウムの骨子が決まりました。

「コミュニケーションの現在とこれから」
2015年12月12日(土) 14:00〜17:30
【報告者】
ドミニク・チェン(情報学研究者/株式会社ディヴィデュアル共同創業者)
藤村厚夫スマートニュース株式会社執行役員)
荻野NAO之(写真家)

2015年7月11日土曜日

劇画家と国分寺

東経大のある国分寺には、かつてタツノコプロがありました(2013年、三鷹に移転)。
その前、国分寺には劇画の先駆者(辰巳ヨシヒロ、さいとうたかを他)が住んでいました。1957年のことです。
その経緯に関する連載が『みにこみ国分寺』で始まりました。

第1回「国分寺駅北口周辺は劇画家たちの梁山泊だった!?(その1)

【参考】
映画「TATSUMI マンガに革命を起こした男
さいとうたかを 劇画講座

2015年7月10日金曜日

オープンキャンパスの体験授業

オープンキャンパスの体験授業の予定をお知らせします。

各回共通
 11:40 - 12:20
 5号館 2階 E201

7月26日(日)
 文化人類学から考えるコミュニケーションの多様性〜グローバル時代における異文化理解に向けて
 講師:深山直子
 人類は誕生以来、実に多様なコミュニケーションの方法を発達させてきました。世界各地に目を向けてその豊かさをのぞきこみながら、コミュニケーションの本質について一緒に考えましょう。

8月22日(土)
メディア」からコミュニケーションを考えると……
 講師:柴内康文
 スマホ上のLINEやTwitterなど、私たちは直接会う以上に「メディア」を挟んでコミュニケーションしています。その機能や役割は、現代社会を理解するには欠かせません。そんなことを考えるスタートラインに立ちませんか。

8月22日(日)
企業組織のコミュニケーション〜あなたのキャリアのためにも
 講師:小山健太
 企業組織の基本要素の一つはコミュニケーションです。日常的には「就"職"」と言いますが、日本企業の本質は異なります。あなた自身のキャリアのためにも、企業組織のコミュニケーションを理論的に考えてみましょう。

録画したものを同じ日の14:10から上映します。会場は、5号館 2階 E201です。

2015年7月6日月曜日

Think Communications 第2号

Think Communications 第2号ができました(A3判、2ページ)。

今回のテーマは「『廃墟の残響』を語る、『廃墟の残響』で語る」。
3月に刊行された、桜井哲夫著『廃墟の残響』(NTT出版)をめぐるミニ対談です。
対談してくれたのは、広報課の二瓶さん。

第1号(佐々木×西垣×柴内による鼎談)はこちら

2015年7月2日木曜日

「コミュニケーション学ワークショップのすゝめ」

昨年、発行した119+3 Voices—コミュニケーション学ゼミのすゝめにつづく第2弾はワークショップ編。
題して40 Classes—コミュニケーション学ワークショップのすゝめ』。
ワークショップ40科目の概要と受講生の声を載せました。付録は2014年度卒業制作・卒業論文リストです。

ゼミが学部の「華」なら、ワークショップは学部の「肝」。

印刷版はもっか作業中、オープンキャンパス(7月26日(日)、
8月22日(土)、23日(日))で配布いたします。


第3弾、講義編も予定しています。

2015年7月1日水曜日

トケコミ教員の新刊2点

最近出た本のご紹介です。

「知覧」の誕生―特攻の記憶はいかに創られてきたのか
福間良明・山口誠(編)柏書房刊

 松永智子が、第6章「海軍鹿屋航空基地の遺産―特攻をめぐる寡黙さの所以」を執筆しました。






震災から見える情報メディアとネットワーク
池田謙一(編)東洋経済新報社刊

 「大震災に学ぶ社会科学」シリーズの第8巻。柴内康文が以下の4章を担当しました。
「テキストデータを用いた震災後の情報環境の分析」
「震災後の新聞・TV、Yahoo!トピックス、ブログ記事と投稿の特徴」
「首都圏情報行動パネル調査2011-2012」
「必要な情報が届くために:情報環境と受け手の対応関連性・整合」