2014/06/22

コミ部の英語はコミュニカティブ

今日は、草野ハベル清子先生の授業をご紹介しましょう。

草野先生はコミュニケーション学部の特任講師として、以下の授業を持たれています。

英語I、英語購読、時事英語、英語ワークショップ、英文法作文、パブリックスピーキング、アドバンスト英語。

授業のやり方は、下記にもあるようにユニークで、私も受けたいぐらいです(たまたま授業にお邪魔したことがあります)。

コミュニケーション学部は来年度から「グローバルコース」を発足させます。コミュニケーション英語に今後も力を入れて行きます。

先生に授業のようすをご紹介いただきました。
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 私の英語の教授法は「コミュニカティブ・アプローチ」と呼ばれるものです。スペリングや発音、文法を目標とする授業と異なり、「自分が伝えたいことを自分の英語で言い(書き)、訊きたいことを自分の英語で訊く」ことを学びます。

 まず、最初に自分の考えや意見を持ってもらいます。そのためには自分のアンテナでいろんなことを知り、考えなければいけません。また他の人たちの考えや意見も興味を持って聞かなければいけません。他の人の言っていることが分からなかったら尋ねるのです。

「今のわからなかった。説明してください」とか、「その単語の意味を教えてください」と言うふうにです(そうしないと、発表の後で私からの質問が出るからこわ〜い、のです)。これをやるにはまず「自己表現」と「自己開示」ができることが前提です。そしてもちろんそれができる「勇気」も。

「僕たちはシャイなので、できないです」と学生たちは言います。それに対し、私は「それはまったくの言い訳です。体育の時間にまずスポーツのルールを机上で習います。それから実際にフィールドに出ますが、怖いからとか、痛いからとかはやらない理由になりますか?これは英語の実技のクラスです」と答えます。

 実際、普通のアメリカ人が日常会話で使用する語彙の約70%は日本の中学で習ったものです。

 文法項目の知識(普通、ペーパーテストで計る)と、実際に使用できる(運用する)文法のスキルとの間には相関性がないとのことです。それであればなおさら、クラスでどんどん間違いをし、互いにコミュニケーションを取るしか、英語でのコミュニケーションを上達させる方法はないのです。

 最初は戸惑っている学生たちもゲームや体を動かすことで自己表現を重ねると(これが一番時間がかかるのですが、やるしかないのです)、少しずつ変わっていきます。変わる程度はその学生次第です。

 私はテストはしません。すべて授業内の参加/発表によって評価します。読みのクラス(教科書を使う唯一のクラス)でも訳すことはなく、英語を英語のまま読む訓練をします。どう感じたのか、どこがおもしろかった(おもしろくなかった)を話してもらいます。作文のクラスも、自分がトピック/長さを決めて、書いてもらっています。一人一人自分の書いたものについて私と話をします。

 なるべく学生たちに自主的に決めて(何をいつやるか/発表は誰から始めるか、など)もらっています。そうすることによって、いろんな意見が飛び交い、コミュニケーション能力も高まります。

 ただし、クラスのレベルや人数、集団力学で、やり方を変えています。そのため、選択科目の場合、講義要項にハッキリと「すでに英語がある程度話せる人向き」「英語を人前で話す勇気がある人向き」「全然今まで英語を話したことがない人向き」「話してみたいけど、勇気がない人向け」「英語は話せないけど新しいことをやってみたい人向け」と明記しています。

 すでに英語が話せる人たちの授業(例えば、アドバンスト英語)は、私はなるべく表に出ないようにし、アドバイザー役に徹しています。自分たちですべて(教科書なし、テストなし、シラバスなしなので)何をやるか、いつやるかスケジュールを立ててもらいます。

 この春学期には私が発表のスケジュールを黒板に書き出したら、一人の学生がなにも言わずに立ち上がり、私に代わってスケジュールをみんなに訊き、書き出してくれました(私が年をとっているからとか、背が低いからではないと思う(笑))。

「英語が怖い、人前で話せない」というクラスでは、なるべく簡単なこと(自分の名前を大きい声でいう/他の人と手を繋ぐ/文で答える必要がないクイズ)から始め、少しずつ難易度をあげて行きます。

 この春学期では、隣の人と話すことから始め、今では自分から手をあげて自発的に自分のことやパートナーのことをみんなに話すことができるようになっています。しかも、それに対して、クラスから質問が出るようになったのです。

 文法/発音の間違いで、皆が分かってないなと思う時だけ、私が助け舟を出します。この春学期の「時事英語」では、最初に「このクラスは英語がすでに話せる人、またはガッツがあり食い付いてこれる人のため」と宣言。9人になりましたが、時間が足りないと感じるほど、ニュースの報告に対してつっこんだ質問をお互いにするので、私もとても愉快ですし、私自身も懸命に勉強しています。

 もちろん、このようにうまく行かない年/クラスもあります。その場合は、なるべく学生たちと問題について話す/私のやり方を替えるなどしています。

 毎年チャレンジングなことを私に仕掛けて来るコミ部の学生たちです。