2014年2月26日水曜日

引用文献の分析からわかること

コミュニケーション学部の柴内康文です。

コミュニケーション学がわかるブックガイド』引用文献の分析からわかること、 あるいは(同点の)「ベスト6」


『ブックガイド』では、編集委員の一人をつとめましたが、せっかくですので、作業の副産物で出てきたことをご紹介します。

『ブックガイド』では128点の文献が解説されていますが、それぞれの解説の中で、他の文献を参照・引用しています。巻末には128点の採用文献+この引用文献の全リストによる索引が、付録としてついてます。全部で400近いリストになっているのですが、参照回数の多い文献は、コミュニケーション学の中でもそれだけ大事なものだ、と呼べる面があるのかもしれません。

今回、『ブックガイド』の中で最も参照された本が6冊あります。それぞれ、3回ずつ参照されていました。どんな6冊だったでしょうか。

まずは最初の二つ。

1) マーシャル・マクルーハン『メディア論
2) マーシャル・マクルーハン『グーテンベルクの銀河系

一般にもよく知られたメディア論のいわば代表格、マクルーハンの本でした。2番目の『グーテンベルクの銀河系』は、128点の採用文献に入っていませんから、まずはマクルーハンの存在感が目立ちます。

しかし、「メディア論=マクルーハン」のように『ブックガイド』が全体として単純に捉えているかというと、必ずしもそんなことはないようです。引用回数の多かった3冊目がこれです。

3) 佐藤俊樹『社会は情報化の夢を見る

本書はもともと『ノイマンの夢・近代の欲望』という名前で刊行されていたものが2010年にタイトルを変えて文庫本になったものです(旧タイトルでの引用もあり、あわせて3回登場です)。この本は、情報化(またメディア)が人間や組織を変える、という議論(最近だと「ソーシャルメディアが社会を変える」といった議論)がいかに短絡的なロジックに基づくものかを徹底的に批判しており、上記のマクルーハンの議論もその対象となっています。マクルーハンとのこの本は、セットで読むと興味深いところです。実は『ブックガイド』の紹介順では、マクルーハン『メディア論』の直前にこの本が配置されていたりもします。

このように、影響力の強い議論と、それを批判的に捉える視点の両方が取り上げられている、というのは次の2冊の組み合わせが同数で引用が多いことにも現れているように感じます。

4) ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ『ウィキノミクス
5) 西垣通『集合知とは何か

前者は、無数の人々の協力によって、新たな生産がもたらされる仕掛けを論じます。そのようなことはウィキペディアをはじめ、インターネットにおいてさまざまな形で見いだされるものです。一方で後者は、コミュニケーション学部教授の西垣通先生の手になるもので、アマチュアによる知の集積=集合知が、単純にもてはやされるようなものにはなり得ないことを根底から議論し、あるべき集合知のあり方を論じています。

そして、参照回数の多かった最後、6冊目の本が次のものです。

6) アルバート=ラズロ・バラバシ『新ネットワーク思考

コミュニケーションについて考えるとき、それがつなぐ(あるいはそれが起こる土台の)、人々の「ネットワーク」の性質を考える必要が出てきます。ソーシャルメディアのフォロワーや「友だち」のつながり方のことを考えてもよいかもしれません。本書はこのつながりの研究「ネットワーク科学」の代表作の一つです。つながり、を考える志向は、現在のコミュニケーション学において欠かせない視点です。このブログ記事のように、文献の引用のされ方をつながり方として捉えるということも、私たちがネットワーク的にものを見る一例です。

現在のコミュニケーション学が(そして、東経大コミ部にいる教員=研究者が)どのようにコミュニケーションの問題を捉えているのかの一端が、『ブックガイド』での記事の書かれ方(文献の引用の仕方)に多少なりとも現れているような気がします。上記の本がどんな風に論じられ、他のどんな本とつながっているのか、お読みいただいてはどうでしょうか。

そして『ブックガイド』には、続いて2回参照された文献が控えています。20冊強ほどありました(うち6冊は、採用文献外からの登場です)。これを並べてみると、さらに現在のコミュニケーション学の広がりが見えてくる気も(私には)します。それがどんな文献かは、ぜひ本屋さんで本書を手に取り、巻末の文献リストでページが2つ記載されているものを見てください。これは面白い、と思ったら、そのリスト入手のためにどうぞお買い求めください……。

もちろんこういった引用回数で示されることはほんの一部で、本当にユニークな存在は、必ずしも他の本での引用といった形では現れてこないとも言えます。『ブックガイド』全体から、そんな宝探しをしていただければと思います。

※この稿は、私個人の見解を述べたものに過ぎません。
※ご専門の方に:今回の文献リストのデータはsparseすぎて、本格的な分析にはなかなかなりません。悪しからずご了解ください。

2014年2月25日火曜日

第6回KoSACのお知らせ

光岡先生主宰の研究会「KoSAC」(コサック)のご案内です。

KoSAC:Kokubunji Society for Arts and Cultureでは、大学の街でもある「国分寺」を拠点に「社会」「芸術」「文化」などをテーマにしながら、毎回ゲストをお呼びしてお話を伺う機会を設けております。
 その第6回として、「卒論修論フォーラム」を2014年3月15日(土)に開催します。これは卒業論文や修士論文を書き終えた方がその内容を発表し、それに対して評者がコメントをする合評セッションです。研究の精度をより高めるというよりも、より多くの人に話題を共有してもらうことが目的なので、会場の参加者にも議論を開く形で行います。

プログラム
13:00
 はじめに
13:10-14:40
 想像‐想起としての映画経験―映画館プログラムと「観ること」の再定義
14:50-16:20
 展示のモダニズム:1920年代のソシエテ・アノニム再考
16:30-18:00
 美術館における参加型アートの意義―教育普及活動としての視点から
18:10
 おわりに
19:00
 懇親会

詳細はこちらです。

2014年2月20日木曜日

140字×10回

コミュニケーション学部の柴内です。

ツイッター(@yasu_shibanai)において、『コミュニケーション学がわかるブックガイド』の刊行日から10ツイートを使って紹介文を書きました。せっかくですので最初から並べ直してコミ部ログに再録したいと思います。興味を感じたらぜひお手に取ってみてください。

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ガイド1:東京経済大学コミュニケーション学部『コミュニケーション学がわかるブックガイド』(NTT出版)が本日出ました。「中の人6号」(数字は適当)的な立場で関係しましたが、せっかくなのでその視点から特徴をのんびり記します。連投ご容赦。http://goo.gl/lprj2F

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ガイド2:帯は「いま社会を鋭く見通せるのは、コミュニケーション学。やさしく解き明かした必読の128冊」です。「コミュニケーション」が人々を結び、社会や経済を回すことが強く意識されるいま、この言葉をキーにして編んだ、多くの方の役に立つ本と思いますし、そう願っています。(続く)

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ガイド3:本書の特徴はメディア論、(広報・広告や組織に関する)企業コミュニケーション、(異文化理解や多様性に関わる)グローバルコミュニケーションを3本柱として、さらにコミュニケーションの基礎理論と、さまざまな新書・基本テキスト/資料類を加えたことです。だから5章立てです。(続く)

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ガイド4:社会学、メディア論などでよい先行書もあり、本書のカバーも当然ある程度重なりますが、コミュニケーションという視点での広範で独特な選書は面白いです。ネットに強い執筆陣も多く、その手当てが厚いことはユニークな魅力でしょう。http://goo.gl/lprj2F  (続く)

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ガイド5:読書家の方に例を出すと『ウィキノミクス』『閉じこもるインターネット』と『想像の共同体』『銃・病原菌・鉄』が、新書では『集合知とは何か』『ポストコロニアリズム』(どちらも本学教員執筆)が一冊で扱われることに興味を抱かれるかと。http://goo.gl/lprj2F

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ガイド6:私自身はオング『声の文化と文字の文化』、パットナム『孤独なボウリング』の(新)古典、シャーキー『みんな集まれ!』、広井良典『コミュニティを問いなおす』、佐藤卓己『メディア社会』に加え、基本書・データ資料などレビューしています。http://goo.gl/lprj2F

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ガイド7:魅力的な選書群は本屋で見ていただくしかないですが、コミ部ログ(http://goo.gl/fl2p8Q )で少しだけ確認できます。また巻末の400冊近い引用書名索引は情報の宝庫で、個人的には隠れた購入者特典かと。http://goo.gl/lprj2F  (続く)

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ガイド8:学部スタッフ全員(http://goo.gl/4eNWSV )で執筆しましたが、陣容をご存じの(業界の)方には、この本をこの人が論じると、というような組み合わせについてもお楽しみいただけるかとも考えています。http://goo.gl/lprj2F  (もう少し)

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ガイド9:コミュニケーション/メディア論を学ぶ大学生・院生や、メディアビジネス等に携わっている方はもちろん、コミュニケーションやグローバル化、ネット含むメディアの問題に関心を持つ一般の方々に広くお勧めできると思います。http://goo.gl/lprj2F  (あと一つ)

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ガイド10:他にも仕掛けやらこぼれ話やらありますが、ブックガイドとして独自の面白さ、価値がある一冊と思いますので、ご関心の向きは店頭にてご検討いただければ。関係者の一人からのご紹介でした。ここまで読んでいただき感謝です。http://goo.gl/lprj2F (いったん完結)

2014年2月11日火曜日

コミ部卒業生のみなさんへ

東経大コミュニケーション学部の佐々木裕一です。こんにちは。

さて、『コミュニケーション学がわかるブックガイド』という本が出ました。驚くことに、学部の教員28名全員で書いた本です。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4757103468/

6名の編集委員(私もだ!)が選んだ128冊のブックガイドなのですが、企画意図は2つ。まずはこの分野のちゃんとしたブックガイドがないこと。そして、この3月に7名の教員が一気に退職されるから。

卒業後もなにかと「コミュニケーション」が気になっているはずのあなたたちですので、「学」としてのコミュニケーションに触れる機会も持てるように、この本を手に入れてみてください。ためになる、読むべき本が見つかります。

本屋で手にとってみてから買うもよし、すぐにアマゾンでポチるもよし。よろしくお願いします!!

なかなか大したスタッフが揃っている学部だと改めて私は感じましたが、みんなもいろいろ再発見するのではないかな?

2014年2月8日土曜日

2/12発売『コミュニケーション学がわかるブックガイド』

「近刊」から「新刊」に変わりました、『コミュニケーション学がわかるブックガイド』。

12日、全国の書店に並びます。定価2,000円。

第1章 メディアコミュニケーションを学ぶ
 『インターネット新世代』『CODE VERSIN 2.0』ほか25点
第2章 企業コミュニケーションを学ぶ
 『広告論講義』『ロングテール』ほか20点
第3章 グローバルコミュニケーションを学ぶ
 『文化とコミュニケーション』『古今和歌集』ほか20点
第4章 コミュニケーションの原点を学ぶ
 『想像の共同体』『孤独なボウリング』ほか25点
第5章 コミュニケーション学のいまを学ぶ
 『メディア社会』『集合知とは何か』ほか20点(+『コミュニケーション・スタディーズ』ほか18点)

カバーは、コミュニケーションの「コ」。アイデアをお手伝い。

2014年2月5日水曜日

続報:優秀卒制・卒論発表会

ここをクリックすると、当日の別バージョンの写真が見られます。

2014年2月3日月曜日

2013年度優秀卒業制作・卒業論文発表会終了

自称ならぬ他称、実行委員長の北村智です。

今日、午後から今年度の優秀卒業制作・卒業論文発表会が行われました。

発表者は「優秀卒業制作・卒業論文賞」受賞者として卒業式で表彰され、賞状と副賞が授与されることになっています。さらに、その中の1件には最優秀賞が与えられます。

そのための選考がこれから行われます(どの制作・論文が受賞することになるのかは、卒業式の日までのお楽しみです)。

最優秀賞はコミュニケーション学部教員による投票で決定します。当然のことながら、現物を読んだりしたうえで投票してもらいます。また担当教員は自分の指導学生には投票できません。

卒業制作・卒業論文は大学で学んだ成果を伝えるコミュニケーションとも言えます。そう考えると、教務主任(北山聡先生)の閉会のことばにあったように、指導教員以外の受け手にも恵まれることが優秀卒業制作・卒業論文賞の何よりの「ごほうび」なのかもしれません。

だからと言って、副賞をけちったりしないところがコミュニケーション学部のいいところです(学部長)。

2014年2月2日日曜日

武蔵村山キャンパス公開講座のご案内

コミュニケーション学部 光岡先生の講座案内です。

「ミュージアムをより深く楽しむために」
◎2014年3月1日(土)14:00 ~ 16:00
◎東京経済大学 武蔵村山キャンパス 本部棟4階41番教室
東京都武蔵村山市学園5-22-1
無料(要事前申込
先着200名
◎趣旨
 ふだん私たちはミュージアムで開催されている展覧会に何気なく足を運んでいます。ところが、これらのミュージアムの歴史や、その社会的役割について考える機会はほとんどないのではないでしょうか。
 本講座では、映像化されたミュージアムを主題とした映像も紹介しながら、ヨーロッパで産み落とされたミュージアムがどのように日本に定着し、現代社会においていかなる機能を果たしているのかを受講者の皆さんと一緒に考えたいと思います。
案内サイト
チラシ[PDF]

2014年2月1日土曜日

いよいよ前期入試本番

昨日、前期入試の志願者数が確定しました。

一般入試前期の試験日は、
2教科型が2/7、
3教科型が2/9-11の3日間。
そして合格発表が2/20(木曜日)。

センター利用入試の合格発表は2/11(火曜日・祝日)です。

みなさんもドキドキしているかと思いますが、私たちもドキドキしています。

くれぐれも体調を崩さないように。
あともう少し!